「これでいいのだ」



 赤塚不二夫原作の漫画『天才バカボン』に登場するバカボンのパパの決めセリフです。
 実はこの「バカボン」という言葉は仏教に由来していると言われています。この言葉は「尊いもの・お釈迦様」を意味します。つまりバカボンとはお釈迦様を意味する言葉だったのです。
 そのお釈迦様は、私たちの身の上に起こる様々な出来事は、「これがいい」という私たちの思いに関係なく立ち起こってくると説きました。
 これを「諸行無常」と言います。私たちは「これがいいのだ」と自分の都合に合うことだけを選んで生きていければいいのですが、そうはいきません。悲しいことも、辛いことにも出会っていかなければなりません。
 そういった現実を前に、「これがいいのだ」ではなく「これでいいのだ」と、事実を事実として引き受けていくことの大切さを教えてくれています。また、ある先人は仏教の救いを「事実を事実として受け入れていく勇気」と語っています。
 まさに「これでいいのだ」とは、その勇気に溢れた言葉なのかもしれません。